リアルにその場にいたとして こんなにも、確実な言い方ができただろうか。
「心の揺れ」
正にその「揺れ」を、あの時に戻って言えたなら、それは発語したら憚られる感情までをも、著者は表現することに試み見事に成し遂げている
私が小説家でなくて良かった、心からそう思いました。
ここはとても速い川
井戸川射子 著
どうやって生きたら、そんな風に描けるのか
夜の散歩の場面、歩く私を取り囲む全ての生命体を、空気を、時空をこんなに的確に表現する方法があることに慄く
わかったふりしてる大人が、少年が言わない・言えない感情をどんだけ掬い上げようとしているのか、掬い上げる気持ちの余裕もないのか
でも、わかったふりをする大人の一人に既になっている自分を見ることで、沸きあがる生々しい感情
少年のあふれる感情に、久しく感じなかった苦しさを私は味わいました。
少年になった私として苦しかったのか、それとも、大人の役割が既に与えられて大分経った私だから苦しかったのか、その両方だったからなのか。
またひとり、私の心をザワつかせる方と出会ってしまった感じです。
社労士・行政書士 かしむら